公開企業、非公開企業のどちらが良いか?

公開企業と非公開企業の比較において「公開する」とはどういうことか、またアメリカでの上場の要件や利点、欠点について説明していきます。
「公開する」ということの意味

「公開する」とは、非公開企業が新規公開株式(IPO)または他の方法を通じて一般の投資家に株式を提供し、公開取引会社に移行するプロセスを指します。公開企業は、株式として表される所有権の一部を外部投資家に売却します。これらの株式は株式市場で取引されることができます。

アメリカの株式取引所への上場要件

アンダーライターは有価証券の発行者や所有者から、当該有価証券の全部もしくは一部を売り出しの目的で取得する者、または有価証券の募集・売り出しに際して、当該有価証券の全部もしくは一部を他に取得する者がない場合、その残部を発行者や所有者から取得する(引受を行う)者です。発行または売り出される有価証券を広く投資家に取得させると共に、売れ残れば、アンダーライター自らが当該有価証券を保有することで、発行者または売出人の資金調達を確実にする役割を果たします。


上場を目指す企業はアンダーライターが提示する要件を満たす必要があります。以下は上場のためのいくつかの要件です。

  • 事業は次の四半期および翌年の収益を信頼性を持って予測できるほど成熟している必要があります。
  • IPOプロセスを資金提供する余裕資金があること。
  • 事業部門にはまだ十分な成長余地があること。
  • 企業は業界の主要プレーヤーの一つであること。
  • 強力な経営チームが存在していること。
  • 公開企業には監査済みの財務諸表が必要です。
  • 企業は、市場が企業の進む方向を理解できるように、次の3〜5年間の財務計画が明確に示されている長期的な事業計画を持っている必要があります。
  • 債務対資本比率は低い必要があります。この比率は成功したIPOを阻害する最大の要因の一つとなり得ます。

債務対資本比率は、投資家が企業に投資する前に注目する非常に重要な指標です。低い債務対資本比率は、企業が健全な財務状態にあり、成功の可能性が高いことを示すサインです。しかし、債務対資本比率が高すぎる場合、企業が過剰な債務を抱え、適切に財務を管理できていないことを示すサインとなります。これは、成功したIPOを阻害する可能性のある財務上の問題や、最終的には企業の長期的な持続性につながる可能性があります。そのため、企業の成功と長期的な財務の安定性を確保するためには、債務対資本比率を低く保つことが重要です。

上場することの利点と欠点は次のとおりです。

利点:

  • 資本基盤の強化、買収の容易化、所有権の多様化、および名声の向上が期待できます。最も明白な利点は、資本調達の能力です。資本は、研究開発(R&D)の資金、設備投資の資金、または既存の債務の返済に使用することができます。
  • 株式および債券の公開を通じて資金を調達するための効率的な資本市場へのアクセス
  • 高い流動性と日々の評価を持つ株式の取引の柔軟性
  • 顧客からのより多くの注目、より良いブランド認知度と名声
  • 新しい流動的なM&A通貨としての株式の機能
  • 株主側での富の多様化の可能性
  • 上場企業として価値のある従業員を引きつけ、維持し、報酬を与える能力の強化
  • 長期的なインセンティブ計画による重要人物との結びつきと動機づけの機会

欠点:

  • 時間を要する投資家関係などの負担があります。
  • より高い透明性と開示要件
  • IPOの全体的な費用
  • 上場企業としての継続的な要件に関連する追加コスト
  • 投票権を持つ新しい投資家
  • 約束を果たす圧力
  • 企業ガバナンスの義務
企業が公開企業として上場するか、非公開企業のままであるほうがよいのか?

企業が上場するかどうかは、創業者と企業の具体的な目標によって異なります。非上場のままでいることで、創業者は企業の経営に対するより多くの制御権を持つことができ、上場に伴うすべての規制要件を回避することができます。一方で、上場することで企業は大量の資本にアクセスできるため、事業の成長に活用することができます。最終的な決定は、企業の独自の状況や創業者の目標に基づいて行われるべきです。