2023年第1四半期米国投資マーケット・レビュー

金融セクターの軟調、高水準のインフレーション、そして不確実な金融政策の見通しによって、市場は年初に強いスタートを切った後に急落を続け、投資家にとって不安定な展開が続きました。それでも、多くのセクターが今年第1四半期に利益を上げており、昨年の損失の後の朗報となっています。資産クラスのリターンは、グローバルな株式や債券の幅広いミックスでポジティブなパフォーマンスを示しています。軟調傾向の中でも、いくつかのセクターは他のセクターよりも堅調なパフォーマンスを維持しています。特に第1四半期のボラティリティ(変動)によって、米国株式市場はプレッシャーを受けるなかで、国際市場が優る動きになりました。

今後、米国株式市場は、景気後退にともない収益の下方修正が表面化してきた場合、さらなる課題に直面する可能性があります。高い賃金インフレーション、縮小するマージン、そして成長の鈍化による継続的な向い風の中では、景気後退に耐え長期的で力強いリターンを提供する高品質のセクターや企業を特定するためにアクティブな運用が必要であることを強調すべきでしょう。さらに、米国に比べて急激に割安になった米国外株式市場と、弱まっているドルによって、国際株式市場の優位が継続すると考えられます。成長懸念の高まりと今後の利下げの可能性があることから、諸々の債券で構成するコア固定収益への投資は、安定収益、債券価値の上昇、投資分散化の恩恵を提供することから、昨今再び非常に魅力的な投資対象となっています。

最も重要なことは、投資家が将来のリスクを考慮する際に、分散投資が提供するメリットを理解することです。昨年、株式と債券の相関関係が正に転じましたが、米国連邦政府による緊縮サイクルの終了とインフレの鎮静化によって、従来の負の関係が再び強化されることが期待されます。また、各年の最高や最低のパフォーマンスの資産クラスを予測選別することは非常に困難ですが、長期的には投資家は分散化されたポートフォリオにより安定したスムーズなリターンを得ることができています。